特定非営利活動法人浜松NPOネットワークセンター

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静岡県ジョブコーチ派遣事業2006

1.ジョブコーチ派遣事業報告

平成18年4月21日から本事業を開始し、平成19年3月26日の契約終了時まで支援対象者数113名、総支援回数1272回の支援を実施することができた。

 本事業は『浜松NPOネットワークセンター』が受託し、県内7箇所の拠点に所属する32名のジョブコーチが、地域の中で働く障害者や、働く希望を持つ障害者、その家族、障害者を雇用する事業所を対象に支援を行った。
 支援においてまず、アセスメント時に、本人との面談のほか、関係する施設・学校・医療機関などを訪問したり、家族の話を聞いたりして、就労上の予想される問題点、アピールできるところなどの情報収集を行った。また事業所の訪問時には職務分析、課題分析を行い、支援計画を立てた。

 また、現場支援においては、支援計画に基づいて支援を行った。
 作業工程表、チェックシート、日報、ジグなどを必要に応じて作成して、職務遂行をスムーズに行うことができるよう工夫したほか、職場での基本的マナー、コミュニケーション支援、通勤に関して問題のある場合は通勤時の支援も行った。また、職場に対しては、職員に対し障害特性について説明を行い、仕事の内容、指示の出し方、指導方法について助言、提案を行った。同時にジョブコーチのサポートがなくなった後も、職場内でナチュラルサポートが得られるように働きかけた。
 支援途中及び終了時には個々にケース会議を行い、事業所担当者、ハローワーク、関係する施設担当者、本人、家族などが集まり、就労上の課題などについて話し合う機会を持った。

 個々の支援と平行して、静岡県障害者雇用促進協会・職業センターの行う講演会、ハローワーク主催の合同面接会、養護学校主催の就業促進協議会、障害者就業・生活支援センター、障害者就業・生活支援ミニセンター他福祉施設などが行う会議などへ積極的に参加して、障害のある人の就労支援にかかわる関係機関との連携を深めることができた。就労支援ネットワーク富士においては、ネットワーク会議を毎月開催し、ネットワークづくりの中心的役割を果たしている。

 今年度は高次脳機能障害者の相談が数件寄せられた。この障害は表面上はわかりにくい短期記憶障害、半側空間無視、遂行機能障害などにより様々な問題が生じており、職場復帰・新規就労支援は困難が多かったが、丁寧に支援を行うことで一人の新規雇用を成功させることができた。
また、相談時に、障害者手帳をもっていなかったが、障害による困難な問題を抱えていると考えられた人に対して、手帳を取得することなどの助言をしたところ、取得後就労に結びつくなどの効果を挙げることができた。


2.ジョブコーチスキルアップ研修報告

今年度も、浜松NPOネットワークセンターと県内7ヶ所の拠点で、現在ジョブコーチにはどのようなスキルが必要であるかを考察し、講座を開催した。

 現在、障害者に関わる制度は、大きく変化している。支援者として制度について知識を持つことが必要であると考え、松為信雄氏による「障害者雇用の国の動きと職業リハビリテーションについて」概論を学んだり、障害者の雇用とその周辺に関わる制度について具体的なものをハローワーク担当官を招いて学んだりする機会を設けた。

 また、今年度は精神障害者の当事者とその生活支援を行い就労に結びつけた施設の職員・事業所とジョブコーチが意見交換をする機会をもち、問題が起きたときの対処法、就労を継続させるための方法などについてアドバイスをもらった。
さらに、秦(はた)政(まこと)氏による「企業経営と障害者雇用~企業人の視点から障害者雇用を語る~」、事業所支店長と現場担当者との意見交換から、企業の立場からの障害者雇用について知識を得ることができた。これらの講座を通してジョブコーチとしての視野を広げることができた。

 そして、今年度も昨年度と同様にそれぞれの拠点で支援したケースについて検討会を行なうことでも、スキルアップを図ってきた。障害者の就労を援助する場面では、個人・家族の抱える問題、職場の問題は多様である。一人のジョブコーチが関わることのできるケースは限りがあるが、ケース会議を行なうことによって、他者の経験を間接的に学ぶことができ、それを別のケースに生かすことも可能となる。
そのケースに関わるジョブコーチも、話すことにより、問題を整理することができ、また、専門の知識と経験を持つスーパーバイザーのアドバイスや他のジョブコーチの意見を聞くことにより、よりよい方法を探り、支援につなげることができた。