2010年6月16日 掲載
第11回 “天竜美林”間伐リレープロジェクト
“天竜美林”間伐リレープロジェクトって素敵な名前だと思いませんか?浜松市と企業、NPOとの協働で始まった事業で、「百枚で1本間伐」というキャッチコピーを使っています。
どんな事業かというと、日々の暮らしの中で誰もが使用する紙製品に、間伐材を配合した封筒と名刺を販売しているのです。そして、百枚の封筒を購入すれば1本の間伐ができる仕組みになっていますから、このプロジェクトに賛同した紙製品購入者は、浜松市の混みいった人工林を豊かな森林へ導く役目を果たすことになる、という具合です。
間伐費用が上乗せされた商品は通常のものより幾分高め。つまり購入はモノを介した環境貢献、いわば寄付行為です。企業・NPO・行政・森林組合・漁業組合総勢38組織の皆さんの賛同を得ることができ、受注生産した封筒と名刺は総数4万枚。初年度目標の一haの間伐がかないました。
究極の目的は、次世代に良い状態の森林を手渡すこと。浜松で森林保全の最も効率的な方法は、産業としての林業を盛り上げること。そして緊急に取り組むべきことは「植える」よりも「伐る」ことだということ。林業プロに委ねる、市民が踏ん張る、行政施策を講じる、大切なのは役割分担をして持続可能な循環型社会を皆で支えることです。
「間伐リレー」という名称には、森から街へ、再び森へというサイクルの中で、それぞれができることから手をつけて、バトンをつないでいこうという願いが込められています。
重なり合う枝葉に覆われた隙間から光が流れ込み、伐り倒された1本分の青空が顔をのぞかせる瞬間は素晴らしいものです。信念と哲学をもつ林業家による手入れの行き届いた人工林のいかに豊かで美しいことか。今夏スタートする第二期リレーのメンバーにあなたも加わってみませんか。
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