2010年5月5日掲載
第5回 地域の困りものから地域の宝に
安間川は浜松市東部に位置する一級河川です。エヌポケットは、洪水を起こす安間川をどんな川にしたいのか住民からの意見集約を県から委託されたことがきっかけで、中流域に住む皆さんと九年にわたるおつきあいが続いています。
当初、私たちは水辺体験プログラムや取材劇などのイベントを通し、地域の人々から安間川についての情報や意見を集め、それらを再び地域に伝えるという活動を繰り返し行いました。子ども達が湧水を見つけ「川は生きている」と表現するなど、安間川への人々の気持ちが「汚くて困った川」から「地域の宝」と変化していく過程も共有しました。
中でも住民が「行政への要望」ではなく、市民・行政それぞれの役割を明確にした「安間川河川整備構想市民原案」を作成し、県に提出したことは注目に値します。これは全国的にも優れて画期的と評されました。市民原案は、市民の多様な意見を互いに尊重しながらまとめていく合意形成型の会議の中で作られました。委員はよくありがちな自治会役員だけではなく、生活者の視点をもつ地域活動の実践者、教育関係者、ときには小中学生まで参加し、専門家と共に学びながら進めた会議でした。
現在この市民原案をうけ、地域の水循環を支える実践活動として「ためタル君プロジェクト」や「水仙十年プロジェクト」を流域の皆さんと一緒に続けています。息の長い事業ですからいろんなことがあります。担当のスタッフが今までがんばれたのも、何かにつけて地域の人たちが温かい応援の手紙をくださったからです。うれしくて涙をうかべて読むこともありました。
今月15日、水仙球根の植え付けを行います。年齢を超えて地域の人々がつながるこの活動にあなたも参加しませんか?
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