2003年度 事業報告
1. 市民活動支援
1. 共同事務所運営
(1)事務機器貸出
コピー機、輪転機、紙折り機、プロジェクター、ビデオ、録音機ほかの貸し出し
(2)事務局代行
2団体 参加者募集受付や電話問い合わせ窓口、郵便物等の収集・保管
- (特)浜松城北体操クラブ
- 浜松環境ネットワーク
(3)事務局同居
1団体(家賃を一部負担)
- 外国人労働者とともに生きる会浜松(へるすの会)
2. 広報・啓発
(1) ニュースレター発行
(隔月)21号~24号 会員、関係団体など毎回約200部を送付
(2) ホームページでの情報発信
全面的にリニューアル。英語版作成。
(3) 交流コーナー
他団体のチラシ・ニュースレター等の展示、物品販売
(4) NPOマネジメントセミナー
第5回(2002年度の継続事業)4月22日「思わず手にとるチラシづくり」
講師:板東孝明氏(吉野川みんなの会)
(5) 出版
「外国人教育支援全国交流会報告書」5月刊行 1000円で販売中
3. 情報収集・提供
組織立ち上げ段階の環境整備、組織運営の助言、法人化支援、情報提供など
(1) 新年交流会
1月24日 浜松市まちづくりセンター 80余名参加
(2) 社会企業家日英交流
9月21日~10月6日 英国訪問 (日本NPOセンター主催)
(3) NPOサポートセンター連絡会全国会議」出席
1月16日~17日 東京(NPOサポートセンター主催)
(4) 全国・海外からの視察の受け入れ
新聞社、市民団体、学校、行政、議員ほか多数
(5) インターンシップ・総合学習等の受け入れ
- 静岡文化芸術大学 文化政策学科3年より1名 7月~9月 多文化共生事業に関わる
- 卒業論文・修士論文の情報提供、海外インターン、大学院への推薦
- 県NPO大学院 実習3名 2月4日、2月18日
4. 政策提言
(1) 議員と共有しよう地域の課題
1月24日 N-Pocket新年会で浜松市議会議員10名を招き、地域のNPO23団体と交流
2月18日 「支援費」をテーマに議員7名と市内の障害者福祉5団体を訪問。市福祉課、県健康福祉部の担当者を交えて円卓会議。西部公民館 参加30名
2.モデル事業の開発・ネットワーク化事業
1. サービスラーニング
(1) サービスラーニング・モデル化事業
浜松市立与進小学校「総合的学習」との連携
5年生の安間川の体験活動を通した総合的学習を1年間にわたって支援。子どもたちの市民性・社会性を育むと共に、安間川河川整備構想策定事業における地域の将来の担い手を育むことを目指して始まった。
1学期:5月6月に合計3日間、5年生5クラスと安間川で体験活動。スタッフが毎回3~4名同行し、子どもたちの川での安全を確保し、生物、水、ゴミ、工事、川の歴史など様々な疑問に応えた。
夏休み:校長と教員2名と共に8月24日~29日渡米、サンフランシスコのNPOを訪問。それ以外の教員3名と、9月13日茨城県の霞ヶ浦へ、NPOアサザ基金と石岡小学校を訪問。
2学期:クラスを解体し、生徒の興味関心から5グループ(魚、植物、水質、ゴミ、工事・歴史)に 分かれた。スタッフが毎木曜の授業に出向き、各グループの指導やコーディネートを行った。
3学期:2学期からの追求活動を引き続き行い、2004年2月は発表のためのまとめや振り返り活動を行った。2月末に1年間の各グループが行った調査探求活動の発表を父兄や地域の方を招いて行った。
成果
1学期が始まった頃、子どもたちの安間川に対するイメージは汚い危険な川だった。しかし、1学期の体験活動、2、3学期の探求活動を通した様々な発見や体験が川をより身近なものとし、市民性や社会性を育む非常に重要な要素である一種の所有感・所属感が着実に芽生えた。子どもたち一人一人の成長ぶりを目の当たりにし、次代の担い手の成長を支援することの社会的重要性を認識した。
(2)「体験学習・ボランティア学習研究フォーラム 地域が学びのキャンパスだ!」開催
2004年2月21日 アクトシティ研修交流センター 講師:中留武昭氏(九州女子大学教授) 25名参加
2. 安間川 水辺再生まちづくり事業
7月~2004年3月
(1) まちづくり委員会
6回開催 委員10名 オブザーバー2名
- 「流域で取り組む洪水対策・水辺再生と住民参加の仕組み」
- 「プレーリーダー&プレーパークの可能性」
- 「雨水マス入門編 種類と効果」
- 「水田の保全と集積 雄踏町の事例」
- 「ヨーロッパの緑化と水循環システム」など
(2) 水辺の体験プログラム
3回開催
(3) 安間川クリーン作戦
2回参加
(4) 与進小5年生160余名を対象に総合学習で安間川ゼミナール
3回開催
(5) 親水モデル区間に石の魚をデザイン
与進小5年生・住民有志とともに工事に参加協力
(6) ウィスキー樽を活用した手づくり雨水貯留マス「ためタル君」を住民とともに製作
モニターを公募して「ためタル君」を流域の公会堂・一般家庭・店舗に44個設置
(7) 「ためタル君応援旗 フラッグアート」
親水スペースの橋で地域に披露した後、「ためタル君」設置家庭に配布・掲示
(8) 水辺再生まちづくりフェスティバル「与進の水辺 誕生祝い」開催
2004年3月6日 約50名参加
成果
総合治水を盛り込んだ「河川整備構想市民原案」を引き継ぎ、地域の核となる実践グループを育て続けるために、自主事業として「生涯学習」「まちづくり」という広い視野で水辺再生に踏み出した。住民参加による雨水利用を「ためタル君プロジェクト」という目に見える形で実現できたことは流域全体で取り組む洪水対策として極めて効果的であり、市民による新たな”公共事業”につなげることができた。
3. 多文化共生事業
(1) ミューラル・プロジェクト
中南米で生まれたコミュニティ・アートの手法を用い、高校まで進学した在住外国人の高校生と”乗り越えた困難と希望”をテーマに10.8×2.7mのベニヤ板に絵を描き、メッセージを地域で共有した。
- 5~6月
- 高校訪問(小笠高校、浜松北高校、浜松城南高校、浜松江之島高校ほか)
- 7月
- 演劇ワークショップ2回開催 講師:すずきこーた氏、静岡文化芸術大学
「乗り越えた困難と希望」をテーマに素材集め。ブラジル人8名、ペルー人1名が参加 - 8月
- 高校生3名、美術科教員1名、スタッフ2名と8月5日~11日渡米、ミューラル視察研修
帰国後、テーマを絵におこす作業(N-Pocket、浜松江之島高校) - 10月
- AFSCからミューラルアーチストのケンダル来日 10月10日~18日、生徒たちを指導
コミュニティ・ペインティング・デイ開催10月11日~13日(静岡文化芸術大学、浜松江之島高校) - 完成後
- 国体イベント、静岡文化芸術大学の学園祭、浜松まちづくりセンターで展示
- 2004年4月~6月
- 国立民族学博物館の企画展「多民族ニホン」にて展示
成果
- ペインティングデイは延べ160人が参加し、子どもから大人まで地域の人たちと色塗り作業を通して、楽しみながらテーマを共有することができた。
- 製作に関わった日本人の高校生、大学生が「多文化共生」への理解を深める機会になった。
- 参加した高校生が「わかもの多文化共生交流会」の開催に関わるなど、リーダーが育ちつつある。
(2) 「わかものたちの多文化共生 全国交流会」開催
3月20日~21日(南部公民館、サンビーチ浜松)南米出身の高校生・大学生が全国各地から約30人、計60名参加。外国人の子どもの進学・進路を広げるために、当事者の意見発表をもとに「学校、子ども、社会に対する提言・メッセージ」をまとめ、次世代の多文化共生のリーダー育成を図った。
(3) 「在住外国人のための無料検診会」MAF事務局支援
浜松外国人医療援助会 主催
10月26日「第8回外国人無料検診会」 受診者572人、ボランティア336人が参加(遠州総合病院)
(4) NPOPフェロー受け入れ
日米コミュニティエクスチェンジ 主催
10月20日~11月14日 米国フロリダ州のACORNよりエリザベス・アンドラデス氏
11月8日 「地域の組織化ワークショップ」開催 20人参加(浜松まちづくりセンター)
(5) 「カンドンブレ」開催協力
静岡文化芸術大学/カンドンブレin浜松実行委員会 主催
7月21日~22日 カンドンブレ-アフロ・ブラジル音楽のルーツ- 約200人参加 静岡文芸大学
4. やさしいネット
デジタルデバイド・セーフティネット事業
(1) 第3期PCリーダー養成講座
10月19日~11月30日 連続講座10回(公開講座を含む)地域情報センター 20人受講
公開講座 10月19日 奥山敏博氏「情報のユニバーサルデザインとその支援技術」ザザシティ・パレット 約20人参加
公開パソボラ情報交換会 11月30日「在宅の障害者を支援するということ」ザザシティ・パレット 約30人参加
(2) 西部MMC委員会
毎月開催 委員8名
(3) MMCボランティアスタッフ会議
毎月開催 スタッフ10名
(4) ユニバーサルデザイン・ホームページ評価
(5) えんがわネット
シニアのパソコン研修・交流クラブ
毎月第三火曜の午前中に開催 常時5~7名が参加。講師:出上眞一郎氏
2004年度は団体会員として登録。自主的な市民活動として、独立。
5. Box Shop
砂山町「栗田商店」内にオープン
手づくりギフトを中心に、オリジナリティのある量販していない商品を販売し、それを女性、障害のある人、発展途上国などの自立を必要とする人たちの支援につなぐことを目指すボックス・ショップ。
静岡文化芸術大学の学生と協力して、2004年1月26日にオープン。現在、7棚を貸し出し中。
6. 第5回 クラフト&チャリティー
芸術家の作品で市民活動を支援
11月1日~2日 静岡文化芸術大学の学園祭に参加。6人の芸術家が参加。ワークショップ、展示、即売。約100人来訪
7. 居宅介護支援事業<独立事業>
- 居宅介護支援利用者は43人~50人で推移
- ケアプラン利用者のつどい開催 6月29日、12月7日
- 一般相談で、高齢者の介護保険以外のニーズ、身体障害、精神障害 、外国籍市民関連、介護職の仕事の悩みなどにも対応。
8. 協力機関型ジョブコーチ<独立事業>
静岡障害者職業センターから委託される形で、それぞれ週3回程度の障害者支援
派遣先
松島会計(精神1名)、日之出物産(知的1名)、ピアス(知的1名)、ゼビオ(聴覚1名), 中部カレット(精神1名、知的1名)、五條ドライクリーニング(知的2名)、伊勢丹(聴覚1名), 玉川ダイカスト(知的1名)、おざわ加工(知的1名)、大祥産業(精神1名)
2.行政との協働事業
1. 障害者職場定着サポート事業
静岡県商工労働部雇用推進室
- ジョブコーチ派遣件数 対象者:63名,支援件数:944回
- スキルアップ講座(職業評価、職場開拓、ガイドヘルプなど)西部、中部で5講座10回開催
参加者 中部16名、西部12名 - 運営委員会の開催 3回
成果
- 運営委員会開催により、事業の展望を共有し、同じ目標を持って就労支援に携わることができた。
- ジョブコーチの派遣回数が伸び、需要が高まっている。
- 就労に関わる総合的な支援を行ってきた。特に、継続的な雇用、就労に必要なコミュニケーションに重点を置いた支援を行った。必要に応じて家庭訪問を行い、対象者やその家族だけでなく事業所ともよく話し合うことにより、信頼関係を築くことができた。
2. 障害者職業リハビリテーション事業
浜松市商工部労政課
- 手芸講座:トートバックづくり、巾着づくり(全5回) 受講生10名
- 小売・販売:伝票記入、小売販売マナー、面接の方法、現場実習(全5回) 受講者 10名
成果
- 手芸講座は受講生が穏やかな雰囲気の中で楽しみながらできた。受講で友達が増えた、ボタンをつけられるようになったなどの感想があった。
- 小売・販売では受講生が、講座後に面接を受けて合格することができ、就労に結びついた。
3. 静岡県西部障害者マルチメディア情報センター(MMC)の管理・運営
静岡県健康福祉部
- 西部MMCの管理・運営 ザザシティ中央館5階、火曜~日曜 9:30~20:30
- ミニ講座開催 視覚、知的、四肢ほか、様々な障害の方が利用
成果
開設から2年、情報支援技術者養成講座も国レベルで盛んに開かれ出し、先駆的に設置されたMMCはやっとその存在価値を多くの人に認識され始めた。現在では1日にミニ講座を希望する人が4、5人はおり、さらに一般の来場者があるためスタッフ一人では対応しきれず、西部MMCを管理人としたメーリングリストを利用して、ボランタリーな支援をお願いすることも多くなった。
障害者が止まり木的にMMCを利用し、ショッピングセンターの5階に設けられたオープンな場所にあることが幸いし、障害の有無に関係なく多様な人々が自然な形で交流し、心のユニバーサルデザインにも大きく貢献している。
4. 静岡県障害児(者)就労支援PC講習
静岡県健康福祉部
12/7~3/14 連続講座10回全40時間
講師:坂本玲子、カラーワークス(中村)、島田江津子
「バリアフリーに配慮したホームページ作成講座」
受講者:四肢障害者、精神障害者 計4名
5. 静岡県障害児(者)就労支援PC講習 在宅講座
静岡県健康福祉部
10月~3月 受講者 13名(視覚8名、四肢3名、呼吸器1名、聴・視覚1名)
述べ278時間、講師5名、補助講師7名
6. 安間川河川整備構想に係る意見集約
静岡県浜松土木事務所 4月~2003月
- コンセンサス会議3回開催(前年度より通算11回)
「河川整備計画への整備構想 市民原案の反映」「短期の治水対策の具体化」
「モデル区間の全体構想および基本方針 住民参加の仕組み」など - 「天新エリカの路」誕生 地元から200本の苗の寄贈を受け、地域住民・小学生・JA・行政 など約100人とともに植樹
- まちづくり事業と並行して水辺の体験プログラムやクリーン作戦の情報を提供
- 親水スペース「与進の水辺」誕生 地元の活動グループが連携し「市野の自然を守る会」が 起ちあがり、サクラの移植、小学生らが在来種を育てる花壇製作、プランター設置などを実践
成果
市民原案で示された「短期対策」が着実に進展する上で更なる情報提供ができたこと、短期対策進捗を2年目のコンセンサス会議で見守ることができたこと、具体的に実施に移される過程でおこる諸問題が見えてきたこと、そして何より、本事業を介して「整備計画策定委員会」とコンセンサス会議の意見のやり取りを実施できたことで、従来の公共事業実施の過程に新しい足跡を残した。
整備計画策定委員会の議論の過程では、専門家の立場から「市民原案」を高く評価し、更に充実させる指摘が相次いでなされている。住民と行政との本格的なやりとりが、事業の進行過程でも起こりうる仕組みを土木事務所が作りだし、1年目よりも関係者を拡充して、2年目のコンセンサス会議を企画・運営して、行政の真摯な要請に応えることができた。
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