2004年度 事業報告
1.市民活動支援
共同事務所運営
(1)事務機器貸出
コピー機、輪転機、紙折り機、プロジェクター、ビデオ、録音機ほかの貸し出し
(2)事務局代行
2団体 参加者募集受付や電話問い合わせ窓口、郵便物等の収集・保管
- (特)浜松城北体操クラブ
- 浜松環境ネットワーク
(3)事務局同居
1団体(家賃を一部負担)
- 外国人労働者とともに生きる会浜松(へるすの会)
(4) 交流コーナー
他団体のチラシ・ニュースレター等の展示、物品販売
(5) Box Shop
啓発
(1)インターンシップ、実習の受け入れ
2004年7月~12月 静岡大学教育学部 社会教育実習18名
2004年8月~10月 静岡大学教育学部付属浜松中学校
広報・情報収集提供
組織立ち上げ段階の環境整備、組織運営の助言、法人化支援、情報提供など
(1) ニュースレター発行
25号~27号 会員、関係団体など毎回約200部を送付
(2) ホームページでの情報発信
「やさしいネット」の障害者OJT事業により、全面的にリニューアル。UD化。
(3) 新年交流会
1月29日 浜松市まちづくりセンター 約40名参加
(4) 社会企業家日英交流
7月12日-13日 浜松来訪(日本NPOセンター主催)
(6) NPO支援センターの全国会議等への出席、連携、協力
5月7日 「日本NPOセンター評議委員会」
5月10日 「NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会」総会出席、署名・キャンペーン協力
9月10日 「民間NPO支援センター・将来を展望する会(CEOミーティング)」出席
(7) 全国・海外からの視察の受け入れ
新聞社、市民団体、学校、行政、議員ほか多数
12月1日 Scot Baron氏 コミュニティーアート「Arts in Health」の視察調査に協力
(8)出版
- 「サービスラーニング」8月発行 500円で販売中
- 「外国人をルーツとする子どもと保護者のための高校進学ガイドブック」12月発行
政策提言
(1) 議員と共有しよう地域の課題
7月28日 N-Pocketサロン「支援費その後」関係団体、議員をまじえ夕食を囲んで情報交換会。17名参加。
12月18日 太田川の受水に関して、浜松環境ネットワーク、サンクチュアリジャパンと3団体連名で浜松市議会議員へ「公開質問状」を送付
12月28日 「公開質問状の回答」をホームページで公開。
1月29日 「議員への回答」をホームページに掲載。
2.モデル事業の開発・ネットワーク化事業
子どもの社会参加(サービスラーニングによるコミュニティ支援)
(1) 浜松市立与進小学校「総合的学習」との連携
5年生の安間川の体験活動を通した総合的学習を1年間にわたって支援。子どもたちの市民性・社会性を育むと共に、安間川河川整備構想策定事業における地域の将来の担い手を育むことを目指して始まった。
2年目は、カリフォルニア州立オークグローブ小学校と自然環境をテーマに2回交流。その結果を全米サービスラーニング大会(ロングビーチ開催)で発表。その後小学校を訪問し現地で交流した。
(2)サービスラーニング日米フォーラム「子どもの学びを指させるしくみ」開催
2005年3月26日 静岡市産学交流交流センター 80名参加
米国側からは5人の小学生による発表もあり、具体的実践例を交流するよい機会となった。翌日、翌々日は与進小学校、浜松城北高校を訪問。日本の家庭にホームステイし、楽しい交流となった。
(3)NPO地域学習システム推進委員会
計7回、委員会を開催。公設・民設の放課後クラブを訪問し現地調査を実施。放課後の居場所作りを検討したが、中心となる委員の逝去に伴い、具体化は見送り。社会教育の法制度や文部科学省の最近の施策や子どもの実体について学ぶことができた。
(4)静岡大学教育学部付属中学校 ライフタイム支援事業
浜松市内の20にのぼるNPOと協議して、附属中学3年生の希望者を、総合学習の時間に研修生として受け入れる体制を組み、N-Pocketはコーディネーター役を担った。5月~10月までの期間、毎週火曜日午後に中学校や研修先を訪問して、生徒と訪問先の支援を行った。生徒の成長が高く評価され、全国社会科研究会でも発表された。
(5)各地で発表報告
8月28~29日 第44回「社会教育研全国集会」40周年大会にて事例報告
11月20~21日 第7回「全国ボランティア学習研究フォーラム」京都・亀岡大会にて事例報告
2.環境・地域の自立(安間川 水辺再生まちづくり事業)
「流域のみんなで洪水防止 ためタル君&どんぐりの森プロジェクト」
(1)夏休み水辺の体験プログラム
「魚捕り大作戦&ボートレース」「プレーパークで遊ぼう」2回開催
(2)カヌークルージング
地域有志・小学校教諭・土木事務所職員らと河口まで9kmにわたって視察
(3)保育園に「ためタル君第44号」設置
ミニ公演「ためタル君がやってきた!」上演
(4)「安間川ながかみ水会議」
県土木事務所・浜松市河川課・環境保全課協力 2回開催
(5)ためタル君設置募集のパンフレット作成
流域に配布して協力を呼びかけ
(6)小学校の総合学習・中学校の選択理科の時間に「安間川ゼミナール」を3回開催
成果
都市型河川の洪水を、治水事業と併せて流域住民の創意で防ぐため、雨水貯留・浸透マスの設置、植樹を柱にした自発的な”ふるさとの川や森づくり”の活動に発展させることを目的としている。
昨年、文科省「まちづくりモデル支援事業」で43個取り付けた雨水貯留マス「ためタル君」を増設し、雨水浸透マスの試作にも着手。中間支援組織として人や情報を有機的につなぎ、目に見える形で水循環再考をアピールした結果、参加した住民の意識が行政依存から自分たちの暮らしは自分たちでデザインしようという自立型へ変革を遂げ、河川改修に端を発した土木事業は、地域を巻き込んだまちづくりに進展している。居住地による洪水対策への熱意の較差をうめることが今後の課題である。
3. 多文化共生事業
(1) 外国人の子どもと保護者のための「高校進学ガイダンス」開催
- 5月23日 県立高校定時制2校が協力。約80人が参加
- 12月5日 浜松市立開成中学校、県立高校4校が協力。浜松市・市教委と共催。約80人が参加
- 5言語による「高校進学ガイドブック 静岡県版」を作成、出版。60ページ。
浜松市内の小中学校、県内の各教育委員会に無償提供し、好評を得た。
第2回は浜松市の市民協働事業「たねからみのり」として開催。高校、中学校の協力も得て、様々な支援機関や教育現場とのネットワークが築かれつつある。参加者から高校進学者を数名輩出。多言語のガイドブックは県内外で注目され、他地域での新たなガイダンス開催にもつながっている。
(2) 「わたしのルーツ わたしの希望」映像制作ワークショップ開催
- 10月~11月 映像ワークショップ10回開催 6人の高校生が参加。Root-b共催で、サンフランシスコ在住の日系人映像作家リナ・ホシノが来日し、指導・監修。
- 11月28日 「わたしのルーツ わたしの希望」「Caught in Between」上映会(浜松市情報センター)
- 3月16日 大瀬小学校6年生の社会の授業で上映
4つの家族それぞれの移民史と、今の日本で生きる自分の体験や思いを16分にまとめた。高校生たちは、家族のルーツを調べ、シナリオにまとめ、映像を編集する中で自信をつけ、積極的に社会に発信していこう!というリーダーシップが育まれた。日本人にとっても「日系」の歴史を知り、浜松に暮らす外国人を理解する作品になり、国際理解など授業での活用が期待される。
(3) 「在住外国人のための無料検診会」 MAF事務局支援
浜松外国人医療援助会 主催
10月3日「第9回外国人無料検診会」 受診者570人、ボランティア383人が参加(遠州総合病院)
9年目を迎え、医療面での貢献のみならず、大学生、中学生がボランティアに参加することで、多文化社会を実感する貴重な機会を提供している。
4. やさしいネット
デジタルデバイド・セーフティネット事業
(1)西部MMC委員会 隔月開催 委員8名
(2)MMCボランティアスタッフ会議 毎月開催 スタッフ10名
(3)トークアシスト・ユーザー調査 【静岡県工業技術センター】30件
(4)ユニバーサルデザイン・ホームページ評価
5. Box Shop
砂山町「栗田商店」内にオープン
手づくりギフトを中心に、オリジナリティのある量販していない商品を販売し、それを女性、障害のある人、発展途上国などの自立を必要とする人たちの支援につなぐことを目指すボックス・ショップ。
静岡文化芸術大学の学生と協力して、2004年1月26日にオープン。現在、7棚を貸し出し中。
6. 障害者の就労支援
有償現場実習(OJT)による在宅ワーカー(SOHO)支援
N-Pocketのホームページのユニバーサルデザイン化の全面リニューアル ほか、計3件
7. 居宅介護支援事業<独立事業>
- 居宅介護支援利用者は43人~50人で推移
- 一般相談で、高齢者の介護保険以外のニーズ、身体障害、精神障害、外国籍市民関連、介護職の仕事の悩みなどにも対応。
- 10月1日付で「有限会社 ジョアン社会福祉士事務所」に移行、事務所も独立。
3.行政との協働事業
事業を通して政策連携・政策提言
1. 障害者の就労支援
1) 障害者職場定着サポート事業
静岡県商工労働部雇用推進室
- ジョブコーチ派遣件数 対象者:83名,支援件数:1250回
- スキルアップ講座(支援費制度、成年後見制度と福祉権利擁護事業、重複障害者に対する支援のあり方、障害者雇用の現状・及び支援策について、ケース会議等) 県内6箇所で開催
- 運営委員会の開催
成果
行政、ハローワーク、職業センター、障害者雇用支援センター、障害者就業・生活支援センター、養護学校、各種障害者施設などと連携をとりながら支援を行った。事業所内でも障害特性の理解を求め、適切な指示・対応をとることができるよう助言したり、自具の活用を勧めたり、必要に応じて家庭への連絡もおこない、障害者の雇用の促進、継続につなげることができた。また、全国各地から静岡県のジョブコーチ制度・障害者の就労について講演依頼があり、JCの需要が高まっている様子が伺える。
2) 障害者職業リハビリテーション事業
浜松市商工部労政課
農業コース:いちじくの果実収穫体験(全5回)受講生5名 協力農家:藤沢農園(三方原町)
3) 協力機関型ジョブコーチ <独立事業>
独立行政法人 高齢・障害者雇用支援機構・静岡障害者職業センター
派遣先:製造業3件、スーパーマーケット3件、リサイクル業、給食サービス、食品加工業、百貨店、老人福祉施設 計11件、11人(知的8名、身体3名)
支援成果:継続5、トライアル雇用後、採用3、離職3
残念ながら2名の離職者が出たが、その他の9名はそれぞれの職場で実力を最大限発揮できており、必要な人材として認められて元気に働いている。
2. ITによる社会参画・就労支援
1) 静岡県西部障害者マルチメディア情報センター(MMC)の管理・運営
静岡県健康福祉部
- 西部MMCの管理・運営 ザザシティ中央館5階、火曜~日曜 9:00~20:00
- 西部MMCのホームページ作成・管理
- ミニ講座開催 視覚、知的、四肢ほか、様々な障害の方が利用
- 小・中学校の総合的学習の受け入れ
成果
開設から4年、開設当時から要望が高かった駐車料金の補助も行政センターの実施事業として補填されたり、MMCが設置されているパレットも秋から管理者が替わり、障害を持つ方に対する配慮も変わった1年であった。環境も改善され、ミニ講座実施などスタッフの熱意もあって、1日の来訪者が開設当時の2倍近くなって多くの市民に利用されるようになった。
視覚障害の方々にもパソコンによる情報獲得が浸透し、来訪者のレベルアップに伴い、当事者ゆえの配慮が必要となり、障害者雇用支援機構の「重度障害者介助等助成金」でスタッフとして全盲の方を雇用し、二人体制で対応できるようにした。MMCを利用しているボランティア団体も障害を持つ方のための講座を定例開催できるようになり、こういった活動の拠点としても活用度が高くなってきた。ITによるコミュニケーション支援の窓口としての活動の充実をはかることができた。
2) 静岡県障害児(者)就労支援PC講習
静岡県健康福祉部
10月3日~12月19日 連続講座20回全40時間
講師:宮崎議弘、坂本玲子、上郡山、アーティス
「バリアフリーに配慮したWebページ作成講座」
受講者:四肢障害者 計5名 ボランティアのべ80人
3) 静岡県障害児(者)就労支援PC講習 在宅講座
静岡県健康福祉部
4月~3月 受講者 16名(視覚9名、四肢5名、呼吸器1名、聴・視覚1名)
述べ300時間、講師・補助講師11名
4) パソコンボランティア特別研修
静岡県健康福祉部
8月29日~9月26日 連続講座10回 受講者10人(延べ91人) ザザシティ・パレット
9月19日 佐々木夏実(横浜ドリームナビゲーター代表)「障害と情報」ほか、講師8名、ボランティアのべ36人
3. 環境・地域の自立
1) 安間川河川整備構想に係る意見集約
静岡県浜松土木事務所
(1) 整備計画の主旨に関する啓発活動
- 小学校の総合学習と連携した地域への総合治水の考え方の普及
与進小学校への出前講座1回・総合学習への情報提供6回・与進中学校への出前講座2回 - ためタル君普及活動の支援
- 地域への広報 チラシ/ポスター/HP・県土木部主催「第1回協働の底力」パネル出展
(2)河川里親制度の活性化
- 河川里親グループの学習&情報交換会 7グループ約20名 4回開催
「土手の植栽計画とルールづくり」「雨水貯留マスと雨水浸透マス」の設置PRと準備 - 浜名湖花博のベンチを6脚譲り受け、中学生や河川里親グループと共に堤防に設置
(3) 安間川を考えるイベントの実施
水辺の体験プログラムを夏休みに2回開催・安間川カヌークルージング2回開催
成果
昨年、静岡県・浜松市の里親制度創設を機に流域から3つのグループが立ち上がった。小中学生のボランティアを交えたクリーン作戦・堤防の植栽・サクラ並木の手入れなどに精を出し、行政任せだった川の維持管理に自発的な住民参加の新たな足跡を残している。川のある暮らしを楽しむ住民が増える中、歴史や地形に鑑みた環境への配慮を加味した活動をめざして、専門家を招いてミニ講座などの学習&情報交換会を開き、共に学び、考え、行動する楽しさを味わうことができた。
一方で、洪水防止の長期的対策である遊水地計画が地元地権者の利害関係に及び、住民の参加意識を複雑にしており、次の2点を年度繰越しとして、委託事業は2005年11月まで期間延長となった。
4.その他
1) NPO相談会
静岡県生活文化部NPO推進室
東部(NPO法人リベラヒューマンサポート)中部(NPO法人FJI)と当センターの3団体の共同により、合計102件187人を対象に合計34回の相談会、集団講習会を4回開催。
法人格取得後5年目の100団体の事業報告書・収支報告書をダウンロードして調査したところ、定款の活動目的に準じた活動を実施している団体は30%未満、事業計画と収支報告書が連動して内容が把握できる報告書は20%以下など、設立当初の活動継続の困難性が明らかになった。
2) 浜松市市民協働事業たねからみのり「外国人のための高校進学ガイダンス」
浜松市行政経営課、浜松市教育委員会
詳細については、Ⅱ自主事業の「外国人との共生」を参照。
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