静岡県ジョブコーチ派遣事業2005
1. ジョブコーチの派遣
2005年4月から2006年3月27日の契約終了時まで、支援対象者数125名、総支援回数1615回の支援を実施することができました。
本年度も『浜松NPOネットワークセンター』が受託し、県内7箇所の拠点に所属する35名のジョブコーチが活動をしています。これらの拠点はそれぞれの特徴を生かしながら、地域の中で働きながら生活をしている障害者や、働く希望を持つ障害者、家族、障害者を雇用する事業所を対象に地域にある関係機関と連携をとりながら支援を行ってきました。
- 『特定非営利活動法人けるん』(三島市)では、この法人が障害者の生活支援を行っていることから、本人家族から直接相談を持ち込まれることが多く、その障害者の特性をとらえ、独自に職場開拓を行なって就労に結びつけ、職場定着を行ないました。
- 『就労支援ネットワーク富士』(富士市)では、行政、学校、施設など様々な他機関と連携を取り、ネットワーク会議を年2回開催しました。ジョブコーチの数が多く、それぞれの個性や専門知識を生かしながら積極的な活動を行っています。また、今年度新設された、障害者就業・生活支援ミニセンターと協力して支援を行い、同時期に複数の障害者の実習を支援した事例もありました。
- 『特定非営利活動法人清水障害者サポートセンターそら』(静岡市)では就労相談日を設け、対象者にふさわしい職場を探すとともに、就労に必要なスキルをアドバイスしています。
- 『就労支援ネットワーク藤枝』(藤枝市)では、障害者一人ひとりが自立して働くことができるようになるまで、関係機関とケース会議で問題を共有しながら、丁寧な支援を行っています。
今年度新設された、障害者就業・生活支援ミニセンターと協働して生活面と就労面での支援を有機的に連携して行うことができ、職場定着に結びつけています。 - 『かたつむりの会』(新居町)では、事業所、家族、その他機関と連絡をとりながら、障害者雇用の継続を支える関係作りを、確実に行ってきています。支援終了後も、障害者の働く場を温かく見守っています。また、今年度は就労支援ネットワーク浜松と一緒に支援を行うケースもありました。
- 『就労支援ネットワーク浜松』(浜松市)では、行政、施設、学校、事業所など関係諸機関と連携をとりながら、障害者雇用の促進に積極的に取り組んでいます。
障害者就業・生活支援センターだんだん、就業支援センターふらっと、養護学校との4者で定期的な会議を持ち、より具体的な話し合いの場を設けています。また、今年度は、精神障害者の支援件数が伸びましたが、県のジョブコーチ派遣事業は支援期間が短いことから、時間をかける必要がある精神障害者に対しての支援には困難を感じつつも、生活支援センターや医療機関との連携により、定着に結びつけることができました。
『浜松NPOネットワークセンター』は、県内各拠点の特色を尊重しながら、お互いに学びあい、よりよい支援に繋ぐことができるような情報交換の場をもっています。また、行政や福祉機関、学校、事業所、ハローワーク・職業センター・雇用支援センターなど関連機関との連携がスムーズに行うことができるよう、各拠点とともに活動を行っています。そして、障害者の新規・継続雇用を進める上で、大変重要なこととして、障害のある人の家族や事業所職員、施設職員、学校職員などを対象にした講演活動を積極的に行ってきました。
2. ジョブコーチのスキルアップ講座
就労支援体制のネットワークづくり、職業評価、職場開拓についてなど、ジョブコーチとして活動していく上で必要と思われるスキルを身につけるための講座を開催しました。
今年度は、県内7ヶ所にある拠点がそれぞれ、現在ジョブコーチにはどのようなスキルが必要であるかを考察しテーマを決めて行いました。
- 障害者に関わる制度が大きく変化している現在、支援者として制度についての知識と理解をふかめるために、障害者雇用に関わる制度と、自立支援法について学ぶ機会を設けました。
- ジョブコーチとしての支援を行う上で、「本人を理解する」ことはとても重要だが、現実の問題としては県のジョブコーチは依頼を受けてから実施するまでの時間が少なく、「本人を理解する」ことについて十分な対応ができずに、支援に入らざるを得ないこともあります。
理想と現実の中で、どのように取り組むことがよいかを考え、静岡職業センターの本人理解、支援への過程を聞き、実際のジョブコーチにどのような視点を持って支援を行っているか、他機関との情報共有などについて、事例に基づいた話を聞きました - ジョブコーチの生まれたアメリカの障害者雇用の現状や、電気神奈川福祉センターで行なった「川崎市における障害のある人の一般就労とその支援に関する調査研究結果」と事例について、障害者を雇用している事業所の立場からの意見を聞き、広い視野をもって支援に当たることができるような機会を設けました。
- 今年度も昨年度と同様にケース会議を行なうことによるスキルアップを図ってきました。
障害者の就労を援助する場面では、個人・家族の抱える問題、職場の問題は多様であり、一人のジョブコーチが関わることのできるケースは限りがあるります。そのためにもケース会議を行なうことによって、他者の経験を間接的に学び、それを別のケースに生かすことが可能になります。一方、そのケースを報告するジョブコーチも、話すことにより問題を整理することができると同時に、専門の知識と経験を持つスーパーバイザーや他のジョブコーチのからのアドバイスを受け、よりよい方法を探り、支援につなげることができたと思われます。
3. 職場開拓,職域開拓
その他、余暇支援や就労相談など、ジョブコーチ派遣事業だけでカバーできない部分を職業センター協力機関型のジョブコーチが中心となり、障害のある人の自立に向けて必要な支援を臨機応変に行っています。
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