静岡県ジョブコーチ派遣事業2013
1.ジョブコーチ派遣事業報告
平成25年度のジョブコーチ派遣事業については、実施期間平成25年4月22日から平成26年3月31日、支援対象者は253人、派遣数は延べ3,270人日となった。対象者一人当たりの平均支援回数は12.9回であるが、長期に支援の必要なケースが増加する一方で、事業所や対象者から、就労前の現場支援に至らない相談も増えている。
<本年度の特徴>
1)障害別支援対象者
今年度の障害の内訳は、身体障害15名、知的障害138名、精神障害45名、発達障害33名、高次脳機能障害6名、重複障害16名であった。重複障害の割合が前年比3.7%から6.3%に増加している。
支援回数の平均値としては、高次脳機能障害が18.3回と多く、知的障害13.4回、身体障害と重複障害が13.1回、発達障害12.7回、精神障害が10.7回であった。全体の平均支援回数としては12.9回、1回・2回のみの支援が30件、11~15回の支援が46件、30回以上の支援が22件であった
支援依頼の経緯は年度により様々であるが、今年度は前年度に比べて学校と支援機関からの依頼が増えた。
特別支援学校への支援では3年生の実習支援から卒業後の新規就労時の支援への流れもでき就職・定着に成果を上げたが、「障害者雇用アドバイザー派遣事業」との連携によるところが大きい。
就職の面接に立ち会うことについては事業所、対象者両者からの依頼がある。そうした場合、面談や相談のみで終了する場面も多くなった。また現場支援には至らない電話相談にも対応し、他の支援機関につないでいった。
また必要に応じて以前支援した対象者へのフォローアップを行った。大きな問題がなければ1~2回の聞き取りやアドバイスで終了するケースが多いが、そうでない場合は、再度支援に入る場合もあった。
十数回の支援では定着しないケースや一旦定着したがいろいろな要因から再度支援を必要とするケースも多数あった。そうした場合の支援に当たってはより高度な支援技能と経験が必要となる。このような困難なケースについては、拠点代表、事務局がアドバイスを行うが、さらにスーパーバイザーが加わり、支援方法の見直し、事業所に対するアプローチの変更、課題の捉え直し等を行って問題解決を図った。
また、事業主から個々の対象者支援ではなく、企業全体の障害者雇用についてアドバイスを求められるケースもあった。全店舗における職務の切り出しやマッチング、従業員への面談実施等についての相談やこれから障害者雇用を始めようとする事業主からの相談などである。新規雇用についての相談は、「障害者雇用アドバイザー」に引き継いだ。
2.ジョブコーチスキルアップ研修報告
近年、精神障害、発達障害、高次脳機能障害および複数の障害のある重複障害の支援依頼が増え、支援の内容はより複雑な課題をかかえるようになっているが、静岡県ジョブコーチに対する期待に応えるべく、県内どのジョブコーチが担当しても一定のレベル以上で支援を提供できるよう、各ジョブコーチの基本的技能の底上げが求められる。
各ジョブコーチからの要望や、浜松NPOネットワークセンターと拠点代表者との間で、現在ジョブコーチに不足していると思われるスキル、今後必要となるスキルを検討して、スキルアップ研修を企画、以下のテーマで開催した。
「発達障害の特性と職業的課題」、「知的障害の特性と職業的課題」、「拠点ミーティング見学・ケース検討」、「ケース検討(精神、知的)」、「日本で一番大切にしたい会社」、「JCインターン発表会」、「社会で自分らしく生きていくために SST体験(Ⅰ)(Ⅱ)」、「25年度まとめ」および「障害者雇用と権利擁護」
4.その他の関連事業
本委託事業とは別に今年度「しずおか障害者就労支援ネットワーク」が取り組んだ活動として以下のものがあげられる。
1)講演及び会議に関する活動
例年どおり、個々の支援と平行して、障害者職業センターの行う講演会、障害者就職面接会、特別支援学校主催の就業促進協議会、障害者就業・生活支援センターのほか、福祉施設などが行う会議やセミナーなどへ積極的に参加して、障害のある人の就労支援にかかわる関係機関との連携を深めるよう努めた。
また、研修会・セミナー等の講師として障害者雇用に係る講義や、静岡県ジョブコーチの活動の紹介を行っている。
2)静岡県ジョブコーチ養成セミナー2013
静岡県ジョブコーチの養成に関しては、今年度も浜松NPOネットワークセンターの自主事業として6月から7月にかけ4日間、就労支援ネットワーク・藤枝が運営主体となって藤枝市で開催した。公開講座を含め93名が受講し、各障害特性と職業的課題、ジョブコーチ支援の方法、静岡県ジョブコーチ制度や関係機関との連携の取り方などを、それぞれの専門分野の講師から学んだ。
全講座を受講した者は43名、全課程を修了して拠点に所属し、ジョブコーチとなるべく実習を開始した者は6名であった。そのうち2名がすでに活動を開始している。
3)ジョブコーチ養成事業
4年目となる静岡県の地域人材育成プラン事業を活用し、浜松NPOネットワークセンターにおいて8名の緊急雇用スタッフによる「ジョブコーチ養成事業」を行った。県内外の研修と障害者施設実習、県ジョブコーチの実際の支援現場における実習を組み合わせたプログラムとなった。
事業終了後は静岡県ジョブコーチとして登録し活動を始めているものもいる。
4)障害者雇用アドバイザー派遣事業
平成24年度から始まった障害者雇用アドバイザー派遣事業では、平成25年度も静岡県東部と西部で「しずおか障害者就労支援ネットワーク」に所属する静岡県ジョブコーチが業務を担当した。ジョブコーチとしてのスキルを活かし、職務提案、関係機関の紹介、障害者雇用を推進するための制度の提示、雇用事例の紹介等により障害者雇用企業の増加に貢献した。
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