静岡県障害者就労支援ネットワーク体制づくり事業2002
2002年度も県商工労働部から委託を受け、ジョブコーチ養成事業を継続しました。受講希望者が多く、この事業への期待が高いこととを感じましたが、その背景には、社会福祉制度の基礎構造改革により、2003年度から国による「措置」制度が、障害を抱える本人が選択するサービスに「支援費」を支給する仕組みに変わること、”援助つき就労”サービスも、”ジョブコーチ”制度として国の法律に位置付けられたこと、また多くの福祉施設が定員いっぱいの状態で、卒業後の行き場がなくなっている状況がありました。
静岡県ジョブコーチ養成講座
2002年6月から9月にかけて行われたジョブコーチ養成講座は、基礎講座とレベルアップ講座の2コースとしました。講座において、障害の基礎知識から、全国における実践の様子など情報提供されましたが、受講生の多くは、知れば知るほど、仕組み作りをしっかり確立させる必要があるという思いをもつにいたりました。
そして、学びを深めるとともに互いの交流も深まり、県下数箇所でジョブコーチの拠点づくりが始まり、複数のNPOとして立ち上がる原点となりました。
就労は多様な社会参加の機会の一つ
当センターは、障害があっても、本人の意思に応じて能力を開発し、社会参加する機会が多様に用意される社会が豊かな社会であると考えています。
2001年度のジョブコーチ実習への参加者は、”オン ザ ジョブトレーニング”と呼ばれる職場実習において、知的障害をもった生徒たちがわずか2週間の間に目覚ましい成長を遂げるのを目の当たりにしました。この体験からジョブコーチ制度が社会に根付くように努力したいと勢いづき、2年目を迎えています。
中間支援組織の立場
当センターは、この事業を”ネットワーク事業”として位置付けています。障害者の企業就労に関連する行政機関は7つを超え、福祉施設、授産所、学校、ハローワーク、雇用企業、育成会等々、関連する団体は実に多岐にわたります。関係者を一つのテーブルに載せ、地域の方針を共有して、「就労支援組織」を立ち上げるのは容易ではありませんが、2002年度は、関係諸団体の地ならしもでき、2001年度の受講者による運営委員会も発足しました。
ネットワーキングには、核になる人や組織が必要です。この課題の牽引車となり得れば、他のネットワーキングは簡単だ…と言えるのではないかと思うほど体力と気迫を要する仕事ですが、中間支援組織として、福祉の問題に深く関わり、広い人脈を得て信頼をうる事は、かけがえのない財産になることを信じています。
昨年の成果が少しずつ形になっています。地元のスーパーから3人の従業員にジョブコーチの派遣要請があり、一同大感激。時代は追い風です。誰もが不安無く生きられる社会は、私達共通の願いでもあります。本事業に関心のある方は、ぜひ声をかけてください。