2015年度
20~40代のNPOスタッフが思うこと
NPOの労働環境調査として、7月4日に知立で5人、7月15日に浜松で5人、それぞれNPOに雇用されているスタッフの方たちと意見交換会を行いました。その一部を紹介します。
NPOに勤めたきっかけ、やりがい
- 元々ボランティアをしていて、職員に空席ができてNPOに就職。仲間と「こうなったらいいな」の夢を共有、実現していくのがやりがい。大企業ではそうはいかない。給与は以前の1/3なので、親元にいて独身の20代だからこそできることと思う。
- 会社という枠の中で働くことが肌に合わなかった。NPOはやりたかった半分、逃げ込んだ半分。後戻りできないし、やれることをコツコツやるしかないと腹を括った。
- 小さな子どもがいて、子連れ出勤や在宅労働ができて、融通が効く仕事なのが良い。
- 企業ではプロジェクトの歯車の一つで、自分の仕事が直接何かに響くことはなかった。今は人と関わることが楽しい。しんどいこともあるけれど、達成感や自由度もあって、プラマイするとプラスかと。
- NPOの給料は正直不安だったが、社会課題に関わりたい気持ちの方が強く、車も手放して切り詰めた生活でやりくりした。
- 大型委託事業があった時は時給もよかったが、それがなくなって減額に。でも、現場を見ていると辞められない。やればやるほど問題意識が強くなってハマっていった。
- 人権や社会について職場で話せるのが嬉しい。企業では社会貢献的な話題は出しにくかったが、友人も徐々に反応が変わってきて、自分の仕事が理解されるようになった。
- 小さな任意団体から入ったので、施設を形にしていく発展過程に関われるのが面白い。研修に行って資格を取ってから覚悟を決めた。県内で持っている人が少ない資格なので、重要な仕事をしている自負がある。
NPOで働き続けていくための課題
- 「雇われる」という意識で言われたことだけするのでは役に立たない。ちょっとの指示で働ける自律的な人材でないと。
- 財源が少ない中で給料をもらっている状態では、徹底的に自分のスキルを磨いていく必要がある。例えば企画書を書いて通すとか、自分で自分の価値を高めていかねば。
- 自分がやりたいから働いているのに、新しいことに取り組むほど、仕事が増えて自分の首をしめる。だからといってNPOの収入が増えるわけでもないジレンマがある。
- やりたいことは一杯あっても、人手がないからできない。資金が取れないから人を雇えないという悪循環。収入を増やさないと、自分たちの給料も増えないし、給与を抑えて調整することになる。寄付収入を増やし、安定的な財源を確保することが最大の課題。
- 福祉系の就職先人気度は、大手の社福>一般の社福>NPOといった傾向がある。よい人材が集まりにくいのは福祉系NPO共通の問題。年数をかけて人を育てる余裕もなく、人材確保と人材育成が課題。
NPOで働き続けていくための展望
- 自分でできること、団体でもっとできること、他地域でできることなど考え中。
- 子育て中の母親が短時間でフレキシブルな働き方ができて、たくさんの人が働けることで社会が広がる。一方、パートから常勤へのロールモデルもつくっていきたい。
- 働き方が用意されていない環境だからこそ、自分自身で整備していくことがスキルアップにもつながっていく。
- 転職時に、企業に対してソーシャルビジネスもできることが「NPOで勤めていた」ことの売り、優良人材につながるといい。
- 会社で働きづらい人の受け皿として、NPOで働ける場所を広げていく必要もある。
- 他団体でもスタッフを続けている人がいるのは励みになる。同じ年代の人が悩みを共有して励ましあっていけるといい。