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静岡県西部地域交流プラザのあり方 意見書

平成23年度以降の静岡県西部地域交流プラザのあり方に係る
「利用者連絡会議」及び「西部パレットの今後を考える県民会議」の結果について

 

県民の支援で育った市民文化に未来を!!

静岡県知事  川勝 平太 様

静岡県西部地域交流プラザパレット
            西部パレット利用者連絡会代表 井ノ上 美津恵

 日頃より、静岡県西部地域交流プラザ(以下、西部パレット)利用者の活動にご理解、ご支援をいただき厚く御礼申し上げます。
 
西部パレットの今後のあり方についての討議に関しましては、平成21年9月に中部パレットの移転縮小問題の存在を知った利用者団体有志が、利用者相談会を開催したことに始まります。 
同年11月には静岡県事業仕分けが行われ、地域交流プラザ運営事業も対象となり、要改善の評価を受けましたが、このとき、西部パレット利用団体からなる「西部大好き会」が結成され、11月24日には、90団体と120名(2010年1月集計 115団体、個人216名)による「西部パレットの存続に関する要請文」を川勝県知事様宛に提出させていただきました。

こうした流れの中で、県と利用者間で西部パレットの今後のあり方を考えるべく、平成22年1月30日に行われた利用者連絡会発足準備会議を経て、2月20日から7月23日にかけ、西部パレット利用登録団体及び西部パレットで提供されるサービスの利用者からなる利用者連絡会の全体会議を6回開催してきました。
また、既に新聞でも報道されておりますように、県民の共有財産である西部パレットについて広く意見交換をする必要性も感じ、8月29日には、利用者連絡会の呼びかけで、「西部パレットの今後を考える県民会議」と称した会議を開催しました。

利用者会議の開催状況につきましては、末尾にて詳細(参考資料①)を添えてありますが、第3回目の利用者連絡会全体会議において、県側から西部パレットの具体的な移転縮小案が示されたことに対し、第6回目の利用者連絡会全体会議においては、現在の場所での継続を強く望んだ「移転せず、縮小のみ」が幹事会から提案され、利用者連絡会としての対案として採決されました。
尚、採決時の会議参加者は23名、うち「移転せず縮小」案賛成者は17名でした。また同時に、県民の財産である西部パレットの今後をもっと広く県民との意見交換の中で考えるべきだという意見から、「県民会議」の開催も同会議において決定されました。
8月29日に開かれた「県民会議」では、静岡県からご提示いただいた「浜松総合庁舎へ移転縮小」と利用者連絡会案「移転せず、縮小のみ」の他、会場から出た「現状維持」について意見交換後、挙手により123名の会議参加者の意志を確認したところ、次のような結果となりました。

     「浜松総合庁舎へ移転縮小」賛成   0票
     「移転せず、縮小のみ」賛成     37票
     「現状維持」賛成          72票
      未表明              14票

*但し、利用者連絡会幹事会メンバー5名は集計の為、挙手せず、未表明14票の中に含まれる。従って「移転せず、縮小のみ」賛成者は実質42票となる。
また、会議途中での退席者が4名あった。

県と一緒になって西部パレットの今後を考える場として設けられた第1回から第6回にかけての利用者連絡会全体会の運営方針は、県と利用者連絡会双方からの情報や互いの意見を尊重しながら、合意形成していくというものでした。
会議を進める中で、西部パレットにおいてサービスを提供している団体やそのサービスを利用している個人から、互いに知らなかった活動内容や事実が明らかにされ、次第に西部パレットがザザシティにあるからこそ生み出されている意義と価値の存在(参考資料②)について共有されていきました。そして、「総合庁舎へ移転すれば、極上の市民活動拠点・西部パレットだからこそ生まれた、これからの社会作りに必要な多くの価値と可能性が無になってしまう」という意見に集約されてきました。

そこで、利用者連絡会として8月15日には、「県西部地域交流プラザ・パレットの現在の所在地での存続について」要請する内容で街頭署名を行いました。また、それとは別に団体・個人による自主的な署名活動も行い、9月8日現在、賛同数は5,548(団体:127、個人:5421)となっています。それに加え、特に移動や筆記に困難を抱える人達が簡単に署名できるように、と設けられた電子署名でも「県西部地域交流プラザ・パレットのザザシティ浜松での存続要請について」という内容で、9月8日現在、141名の賛同を集めることができています。特に、メッセージが書き込める電子署名には、市民活動を行う若者達から熱いメッセージが数多く届いています。   

この結果を踏まえ、西部パレット利用者連絡会としてはできれば現状維持を望みますが、県の厳しい財政状況等を鑑み、ミーティングルームC、Dの削減などの方法による「移転せず、縮小のみ」を要望するという意見を提出いたします。
また、西部パレットの存在を知ってもらうのにいい機会であると考え、多くの県民からの意見を求める場として開催した「県民会議」では、上記のように「現状維持」が最多意見となりましたので、あわせてご報告させていただきます。

私たち利用者は、サービスを提供する団体として、またそれらのサービスを利用する個人として、「ソーシャルインクルージョンを理念とした社会作りの仕組み」が西部パレットに存在する事実を誇りに思っており、これを可能にした静岡県への感謝の念を忘れてはおりません。

また、街中に有ることで、パレットに集う大人たちの姿を、多くの日本の若者や外国にルーツを持つ若者が見ている事実があり、このことは、未来の地域社会を担う人材を育成することに繋がっていると確信しています。この事業におけるこうした可能性をさらに高め、文化先進県として県内市町のモデルとなりうるセンター活用をしていくために、西部パレット利用者一同が、静岡県、運営管理業務受託団体、県民と力を合わせて、一層の努力を続けていかなければならないと考えております。このことをご理解いただき、格別のご配慮を賜りますよう、なにとぞ宜しくお願い申し上げます。

最後に、この意見交換会が、静岡県と県民・NPOの相互理解を深める良い機会となりましたこと、県関係職員の皆様方の誠意あるご尽力・ご対応につきまして、利用者一同深く感謝いたしております。


【参考 1】利用者会議開催状況

開催日 主な検討テーマ 参加者数(議事進行者含まず)

□第1回利用者会議 2月20日
中部パレットの動きについて関係者より報告、西部パレットの今後について利用者側の意見 31名

□第2回利用者会議 3月20日
県より「県NPO活動支援センターの概要及びNPO推進施策の実施状況、事業仕分けの結果」説明、利用者連絡会より「複合施設の中にあるからこそ生まれた西部パレットの価値」について意見集約結果報告、県と利用者連絡会との質疑応答 23名(内・県1名)

□第3回利用者会議 4月24日
県より「総合庁舎への移転縮小」案の提示、利用者側の質問と意見  36名(内・県3名)

□第4回利用者会議 5月29日
県への14の事前質問に対する回答、県の回答に関わる質疑応答
利用者連絡会より「なぜ西部パレットがザザシティになければならないのか」意見表明 34名(内・県4名)

□第5回利用者会議 6月26日
県より再度「総合庁舎への移転縮小」の意見、利用者連絡会幹事会案「移転せず、縮小のみ」を提示(特に、なぜ行政施設に移転できないと考えるのか、利用者から意見表明) 19名(内・県4名 市1名)

□第6回利用者会議 7月23日
西部パレットの今後についての意見集約方法、幹事会案を利用者連絡会案として採決、県民の共有財産として広く意見を求めるべく県民会議の開催を決定  22名

■県民会議 8月29日
西部パレットの今後に関する意見交換会
県案、利用者連絡会案、会場案等の提示と各案に対する意見集約 127名(内・県4名)


【参考 2】西部パレットがザザシティ浜松にあるからこその価値

特徴1:西部パレットは人が行き交う街中にある

  • 多様な人々が自然と交流できる西部パレットは「心のユニバーサルデザイン」を推進した
  • 何かのついでにふらりとよれる西部パレットは社会貢献活動を身近なものにした。

特徴2:西部パレットはスーパーや福祉施設等多様な機能が隣り合う複合施設の中にある

  • 西部パレットにはソーシャルインクルージョンやノーマライゼーションを理念とする社会作りの有効な仕組みがある。
  • 生活空間にとけ込む敷居の低い公共施設になっているため、行政に相談しにくい事情を抱えた人々も気楽に安心して利用している。

特徴3.設置されて8年が経過。利用者はうなぎのぼり。平成21年度は53000人超

  • なじんだ場所として蓄積されたものが芽を出し始めた。
    特に、視覚障害のある人たちはすでにザザシティ浜松のイメージマップが出来上がっており、西部パレットを利用した活動が活発化している。日本語を学ぶ在住外国人の利用者も増加している。
  • 西部パレットの場が失われることの社会的損失は大きい。文化的損失は数値化になじまない。因みに経済的損失は32,249万円

特徴4.市内を放射状に延びるバス路線の停留所が目の前にあり、交通の利便性は抜群によい

  • 高齢者・障害のある人、外国人など交通弱者でも西部パレットは楽に来られる。